米田 弘子(よねだ ひろこ)さん
東京都出身。昭和51年3月に相模原市南区新戸に転居されて以来、相模原市点訳赤十字奉仕団や愛のはがきグループで視覚障害者や独り暮らし高齢者への支援活動に携わって来られました。また、あじさい会館3階の福祉図書室(現保健と福祉のライブラリー・ウエルネスさがみはら1階)の職員としても視覚障害者への情報提供活動に従事されました。
市内屈指のベテランボランティアとして、現在も小中学生などの福祉体験学習等にご協力いただいています。
はじめにボランティア活動に参加された[きっかけ]についてお伺いします
私は昭和51年の3月に川崎から新磯に転居して来たのですが、新しく地元となる土地で新しい人間関係を築きたかったんです。子どもも3人居たのですが、長男は中学1年、次男は小学3年で日中は学校に行っているので、3歳の長女を連れて歩くことで比較的自分の時間を持てる環境にあったんです。そんなことから新磯公民館の婦人学級に参加したのですが、そこで「社会参加の大切さ」や「自分のために何かに取り組むことの大切さ」を学び、そのことが子どもや家族にいい影響を生み出すと思えたんです。
そんなとき、たまたま市社協を訪問しましたら、「善意銀行」(現ボランティアセンター)の活動を紹介されて、するするっと登録することになったんです。ここから私のボランティア活動が始まったと思っています。
具体的にはどのような活動をなさったのでしょうか?
さっそく、その年の8月に『愛のはがきグループ』というボランティアグループに入会しました。市内の独り暮らしのお年寄りに慰問のはがきを出すグループだったのですが、会員さんはだいたい30名くらいだったと思います。このメンバーで1回に1,000名弱くらいのお年寄りに絵葉書などを発送するんです。はがきは写真付きの綺麗なもので市社協が作ってくれるのですが、切手代は会や会員の自腹だったんですよ!?今ほどお年寄りの数も多くなかったから出来た活動だと思いますが、老人ホームやデイサービスなどが多くなってだんだんと役割が変わってしまって…。残念ながら今ではグループも解散してしまいました。私にとって当時の取り組みは心のつながりのある、とても暖かいものだったと思っています。ご返事もたくさんいただきましたよ!うれしかったですね!
次に9月には相模原市点訳赤十字奉仕団が開催する点字学習の講座に参加して、点訳赤十字奉仕団に入団したんです。ここから視覚に障害のある方とのお付き合いが始まりました。市社協の善意銀行に登録した時から、さまざまな活動が広がっていったと思っています。
福祉図書室(現保健と福祉のライブラリー)にも職員としていらっしゃいましたね
ええ。実はその前に新磯公民館の図書室で働いていたんです。新磯に転居した当時、婦人学級に参加したことはお話ししましたが、その時のご縁で昭和54年の新磯公民館のオープンと同時に図書室にお世話になりました。この仕事をしながら愛のはがきグループと点訳赤十字奉仕団の活動を続けていたのですが、両方の経験を生かせると思って、平成元年頃、視覚に障害のある方に点字図書や録音図書などを貸出している福祉図書室にお世話になることにしました。福祉図書室の特性と点訳赤十字奉仕団の活動を通して、視覚に障害のある方への情報提供や生活支援にのめりこんでいったんです。
とてもお忙しそうですが、ご主人やお子さんのご理解はどうでした?
(笑い)一時家事が回らなくなってしまって、夫にすごく怒られたことがあります。何とか乗り切ることが出来て、正直、ホっとしました。(笑い)
今では夫も定年退職しましたので、私の活動を支えてくれています。見守ってくれた家族、特に夫には本当に感謝しています。
最後に、ボランティア活動で得られたものを教えてください。
点訳の活動を通して感じたことですが、まず視覚に障害のある方と知り合えたことですね。次にその方を介在してほかのボランティアさんと知り合えたことです。具体的には市視力障害者協会の方々や、市録音奉仕会、ささの会(視覚に障害のある方への誘導ボランティアグループ)の皆さんと知り合えて、それぞれの活動を知り、生活を知り、人を知り、私自身に広がりが生まれたと思っています。点訳活動がきっかけとなって人と人のつながりの大切さに気付いたんです。
私はこの気付きから、中途で視覚障害になられた方の点字習得の手伝いをするようになりました。ある日見えなくなってしまった方が、点字を覚えて可能性を広げてゆく姿を見て、お手伝いできる喜びが財産となっています。ちょっと格好つけますが、人の可能性を支える活動が生きがいになっています。
~米田さん、本日は長い時間ありがとうございました。これからもいい話をたくさん聞かせてください。~
ありがとうございました。
伺ったいい話をもう少し紹介します。
米田さんは最近、ポケモンカードの点訳をしたそうです。視覚に障害のあるお母さんが、子どもに読んであげられるようにと。絵柄も立体にして…。
ほかには?と聞きましたら「小学校の給食の献立表」との答え。子どもが給食で何を食べてるか知って、夜のおかずが重ならないようにと。
視覚に障害のあるお母さんを支える米田さん。米田さんもお母さんだから出来る心づかいです。
お話を伺いながら感じたことですが、細やかな心遣いとやさしい人柄が活動の根源にあるようです。視覚に障害のある方を支えるやさしい「おむすびサポター」の米田さん。これからもますますご活躍ください。